最高裁判所第一小法廷 昭和24(オ)286 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人加藤英治の上告理由について。
原審における上告人の本件訴旨は、要するに「被上告人は、D協会(法人でない
申合せ団体でその後解散し現在は存在しない)の会長であつたが、昭和二三年六月
七日、同協会長E名義をもつて、訴外株式会社F会宛に金額一二万円、満期昭和二
三年八月一二日、支払地振出地共札幌市、支払場所G銀行H支店と記載した約束手
形一通を振出し、上告人は同年八月二日、同訴外会社から右約束手形の裏書譲渡を
受け、現にその所持人であるが、右満期に支払場所において右手形を呈示してその
支払を求めたけれども拒絶せられた。よつて被上告人個人に対し右手形金およびこ
れに対する満期の翌日から完済まで年六分の法定利息の支払を求める」というので
ある。
しかし、原審の確定した事実関係によれば、被上告人は、結局、正当の権限に基
き、D協会と表示された他人の名において本件手形を振出したものにすぎず、被上
告人個人は、なんら右手形の振出人本人でないことが明白である。そうである以上、
他に別段の事由の主張がないかぎり、未だ当然には被上告人自身が、本件手形上の
義務を負担するものと断定することはできないのである。(原審における上告人の
主張によれば、D協会の法律上の性質は明白とはいい難いのであつて、それが例え
ば単なる民法上の組合であるという場合も十分考え得るところである。そして、も
し右協会が民法上の組合であるとすれば、本件手形につき、振出人としての責任を
負うものは、その組合員自身であつて、権限ある代理人の資格において手形行為を
した被上告人が、当然、自ら手形上の債務を負うものでないことは、いうまでもな
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い)
ところが、本件において、被上告人自身が、当然、手形上の義務を負担するもの
であることを首肯するに足る別段の事由があることについては、原審において上告
人の主張がなかつたものと認められるから、上告人の本件請求を排斥した原判決は
結局正当であつて、論旨は採用できない。
よつて、本件上告を棄却すべきものとし、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、
裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
最高裁判所第一小法廷
裁判長裁判官 真 野 毅
裁判官 斎 藤 悠 輔
裁判官 入 江 俊 郎
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